デビューシングル『アザミ嬢のララバイ/さよならさよなら』
1957年9月25日発売

 

ララバイ ひとりで 眠れない夜は
ララバイ あたしを たずねておいで
ララバイ ひとりで 泣いてちゃみじめよ
ララバイ 今夜は どこからかけてるの
 春は菜の花 秋には桔梗
 そして あたしは いつも 夜咲く アザミ
ララバイ ひとりで 泣いてちゃみじめよ
ララバイ 今夜は どこからかけてるの

ララバイ なんにも 考えちゃいけない
ララバイ 心に おおいをかけて
ララバイ おやすみ 涙をふいて
ララバイ おやすみ 何もかも忘れて
 春は菜の花 秋には桔梗
 そして あたしは いつも 夜咲く アザミ
ララバイ おやすみ 涙をふいて
ララバイ おやすみ 何もかも忘れて
 春は菜の花 秋には桔梗
 そして あたしは いつも 夜咲く アザミ
ララバイ ひとりで 眠れない夜は
ララバイ あたしを たずねておいで
ララバイ ひとりで 泣いてちゃみじめよ
ララバイ 今夜は どこからかけてるの
ララバイ ララバイ ララバイ ラララ
ララバイ ララバイ ララバイ ララララ
ララバイ ララバイ ララバイ ラララ

 

JASRACコード  001-4088-1

 

中島みゆきはこのシングルでプロ歌手としてデビューしました。
『世界歌謡祭』でグランプリを取ったのがその年の1115日ですから、その時点には既にレコードデビューしていたことになります。
 このシングルは、第九回ポプコンで入賞したご褒美として、ヤマハ音楽振興会が発表のお膳立てをしたものです。
 しかし、当時中島みゆきの名前を知るものはごくわずかで、オリコン最高位は38位と地味なデビューでした。
 この曲はファーストアルバム『私の声が聞こえますか』にも収録されています。 
アルバム版もシングル版もアレンジに大きな違いはありません。
歌詞は淋しい男を迎え入れる女が歌われています。 
そこには、娼婦的な臭いさえします。 
この曲が発表された時に中島みゆきは若干23歳です。 
大人びたみゆきの感性が伺われます。
同じ年にアルバム『飛・び・ま・す』で歌手デビューした山崎ハコもアルバムの中に
『橋向かいの家』という娼婦的な歌詞の歌を収録しています。
「母性本能」という言葉があるように女性は生まれながらにして「母性」を持っているのかも知れません。
男の私にはわかりませんが・・・。
また、「春は菜の花、秋には桔梗、そして私は夜咲くアザミ」と季節を代表する花を挙げ、
その一方で自分を「夜咲くアザミ」と卑下しています。
以下に「アザミ」に関する説明をウィッキペディアから引用します。

葉は深い切れ込みがあるものが多い。

また葉や総苞にトゲが多く、さわるととても痛いものが多い。

頭状花序は管状花のみで作られていて、多くのキクのように周囲に花びら状の舌状花がならばない。

花からは雄蘂や雌蘂が棒状に突き出し、これも針山のような景色となる。

花色は赤紫色や紫色をしている。種子には長い冠毛がある。

ここで強調したいのは「アザミにはトゲが多く触ると痛いものが多い」という点です。
中島みゆきは自分を「夜咲くアザミ」と比喩していますが、そこには下手に触ると痛い思いをするよというメッセージが感じ取れます。
しかし、歌詞の全体像からは哀れな男に手を差し伸べる娼婦的な感じを受けるのに、
触ると痛いよというのは矛盾しているように思います。
中島みゆきの歌詞には矛盾する点が多く見受けられます。
人間は所詮矛盾だらけの存在ですから、そういう点を指しているのかも知れません。
サウンド的にはいかにも当時をうかがわせます。 ピアノのイントロから、ギターを主体としたフォークで、今聴くと古臭く聴こえます。
 歌唱力を比べると現在の中島みゆきから数段落ちます。
 ファーストアルバム『私の声が聞こえますか』をレコーディングする際、中島みゆきがスタジオに行くと、
既にカラオケが出来上がっていて歌を吹き込むだけだったそうです。
 そうした経緯からすると、この曲も既にカラオケができていて歌うだけだったのかも知れません。
おまけに初のレコーディングです。緊張して当たり前です。
 尚、レコードの歌詞の下に以下の記述があります。
 
中島みゆき・プロフィール
    本名:中島美雪
    出身地:札幌
    楽器:ギター・ピアノ
    レパートリー:オリジナル130
    好きなタレント:ジョーン・バエズ、PPM、メラニー
    「ララバイ」について一言
 去年の1月頃作曲、不安な状態から逃げたい気持ちで作る。
    「アザミ」について一言
 一見針に包まれて強そうであるが、実際は菜の花や桔梗よりももっと弱い花ではないか。
 
 B面(カップリング)が『さよならさよなら』です。
 

さよなら さよなら
今は なにも 言わないわ
さよなら さよなら
今は なにも 言えないわ
 楽しいことだけ 想い出す
 あなたに 幸せを
さよなら さよなら
いつか 街で 出逢ったら
はじめて 出逢った人の
言葉 かわしましょう

さよなら さよなら
恋は いつか 終わるもの
涙は みせずに
違う電車 待ちましょう
 楽しいことだけ 想いだす
 あなたに 幸せを
さよなら さよなら
今は なにも 言わないわ
さよなら さよなら
今は なにも 言えないわ

 

JASRACコード  036-5028-6

 
 この歌は中島みゆきのどのアルバムにも収録されていません。
 今後、初期のシングルを紹介して行きますが、このようにアルバムに収録されてない曲は多いです。
中島みゆきはデビュー前にして130曲ものストックを持っていたのは凄いことです。
 もちろん発表してない曲も多く、創作意欲はかなり強いものがあります。
この『さよならさよなら』は、この後数多く歌われる「ふられ節」のハシリです。 
男にすがりついたり恨んだり、様々な「ふられ節」のパターンが今後出てきますが、この曲では別れた男の幸せを願っています。
タイトルは「さよなら」ではなく繰り返しを使っています。ここに男への未練の強さが込められています。
私は男なので、しかも恋愛経験が片方の指で足りるほどしかないので、恋愛に関しては疎いですが、
別れに関して男は未練を余り感じないように思います。
それは男と女の生物的相違から類推できます。
男は所詮「種馬」で子孫を残すために女を道具扱いしています。
結婚しても3年もすれば女房に飽きて不倫に走るのはそうした男が本能的に持っている種族繁栄のせいとも言えます。
それに対して女性は子どもを宿し、育ててゆく役割を担っています。
如何にして優秀なDNAを残してゆくのかが女性の使命とも言えます。そこから別れた男への未練がうじうじと残るというのは男である私の偏見でしょうか。
サウンド的には、イントロでバイオリンが奏でられ、ピアノとギターを主体としたバラードで、
中島みゆきは『アザミ嬢のララバイ』と違いのびのびと透き通った声で歌っています。
両曲とも船山基紀氏が編曲を手がけています。