『空と君のあいだに/ファイト!』 1994年5月14日発売
2010年3月11日発行
『空と君のあいだに』
君が涙のときには 僕はポプラの枝になる
孤独な人につけこむようなことは言えなくて
君を泣かせたあいつの正体を僕は知ってた
ひきとめた僕を君は振りはらった遠い夜
ここにいるよ 愛はまだ
ここにいるよ いつまでも
空と君とのあいだには今日も冷たい雨が降る
君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる
空と君とのあいだには今日も冷たい雨が降る
君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる
君の心がわかる、とたやすく誓える男に
なぜ女はついてゆくのだろう そして泣くのだろう
君がすさんだ瞳で強がるのがとても痛い
憎むことでいつまでもあいつに縛られないで
ここにいるよ 愛はまだ
ここにいるよ うつむかないで
空と君とのあいだには今日も冷たい雨が降る
君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる
空と君とのあいだには今日も冷たい雨が降る
君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる
空と君とのあいだには今日も冷たい雨が降る
君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる
JASRACコード 025-7128-5
1994年4月16日から7月2日に日本テレビ系列で放映されたドラマ『家なき子』の主題歌として余りにも有名です。
また、1990年代におけるオリコン1位獲得曲でもあります。
20代後半から30代の方で中島みゆきをこの歌で初めて知ったという話をよく聞きます。
私は歌詞の意味が解らないままでした。
しかし、行きつけのスタンドの小ママがそれを解き明かしてくれました。
この歌詞にある「僕」とは『家なき子』のドラマに出てくる「すず」(安達祐美)の愛犬リュウだよと。
空と君とのあいだには今日も冷たい雨が降る
君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる
「僕」を愛犬リュウに置き換えれば上の歌詞もすんなりと氷解します。
私が感心していると小ママは種明かしをしてくれました。この話は『深イイ話』で紹介されたそうです。
『家なき子』の台本を読んだ中島みゆきが「僕」=リュウと設定したそうです。
確かにドラマの主題歌なのですから内容に沿った歌であっておかしくはありません。
ただ深い意味があるのだろうと推察していた私には「僕」=リュウと置き換えることで、
簡単に歌詞の意味が解けてしまったことに一抹の物足りなさも感じました。
しかし、「僕」=リュウという公式にたどり着けなければ永遠に歌詞の意味が謎であったであろうと思います。
謎のままがよかったのか、氷解してよかったのかはどちらとも言えません。
『ファイト!』
あたし中卒やからね 仕事をもらわれへんのやと書いた
女の子の手紙の文字は とがりながらふるえている
ガキのくせにと頬を打たれ 少年たちの眼が年をとる
悔しさを握りしめすぎた こぶしの中 爪が突き刺さる
私、本当は目撃したんです 昨日電車の駅、階段で
ころがり落ちた子供と つきとばした女のうす笑い
私、驚いてしまって 助けもせず叫びもしなかった
ただ怖くて逃げました 私の敵は 私です
ファイト! 闘う君の唄を
闘わない奴等が笑うだろう
ファイト! 冷たい水の中を
ふるえながらのぼってゆけ
暗い水の流れに打たれながら 魚たちのぼってゆく
光ってるのは傷ついて はがれかけた鱗が揺れるから
いっそ水の流れに身を任せ 流れ落ちてしまえば楽なのにね
やせこけて そんなにやせこけて魚たちのぼってゆく
勝つか負けるかそれはわからない それでもとにかく闘いの
出場通知を抱きしめて あいつは海になりました
ファイト! 闘う君の唄を
闘わない奴等が笑うだろう
ファイト! 冷たい水の中を
ふるえながらのぼってゆけ
薄情もんが田舎の町にあと足で砂ばかけるって言われてさ
出てくならおまえの身内も住めんようにしちゃるって言われてさ
うっかり燃やしたことにしてやっぱり燃やせんかったこの切符
あんたに送るけん持っとってよ 滲んだ文字 東京ゆき
ファイト! 闘う君の唄を
闘わない奴等が笑うだろう
ファイト! 冷たい水の中を
ふるえながらのぼってゆけ
あたし男だったらよかったわ 力ずくで男の思うままに
ならずにすんだかもしれないだけ あたし男に生まれればよかったわ
ああ 小魚たちの群れきらきらと 海の中の国境を越えてゆく
諦めという名の鎖を 身をよじってほどいてゆく
ファイト! 闘う君の唄を
闘わない奴等が笑うだろう
ファイト! 冷たい水の中を
ふるえながらのぼってゆけ
ファイト! 闘う君の唄を
闘わない奴等が笑うだろう
ファイト! 冷たい水の中を
ふるえながらのぼってゆけ
ファイト!
JASRACコード 074-9588-9
この歌も有名です。その理由としてリスナーへの強烈なメッセージが込められた人生歌であることからです。
歌詞の中に中島みゆきに届いた投書めいた部分が4箇所あります。音楽評論家の中には実物を引用していると言う人もいました。
ちょうどその頃、中島みゆきがオールナイトニッポンのDJをしていたのでそう勘ぐったのでしょう。
しかし、中島みゆきがそんな盗作をするはずがありません。
確かにオールナイトニッポンには若者の悩みや苦しみの手紙が沢山寄せられたのは事実です。
そうした若者のSOSを受け止めた中島みゆきがオリジナルな形で表現したというのが妥当でしょう。
「私、本当は目撃したんです 昨日電車の駅、階段で
ころがり落ちた子供と つきとばした女のうす笑い
私、驚いてしまって 助けもせず叫びもしなかった
ただ怖くて逃げました 私の敵は 私です」
この一節は強烈です。
情景もさることながら、「私の敵は 私です」という句にはハッとさせられます。そしてこれこそがこの歌のテーマです。
尚、中島みゆきはアルバム『グッバイ・ガール』以来ずっと編曲を瀬尾一三氏に任せていますが、この曲だけは井上堯之氏が担当しています。