『こんばんわ/強い風はいつも』1976325日発売 2007年2月22日発行
 

 

『こんばんわ』
 

忘れていたのよ あんたのことなんて
いつまでも 忘れてるつもりだったのに

こんばんわ 久しぶりね
どうにか無事でいるようね
どうしたの
知らん人を見るような眼をしてさ
  あれから 何をやってもうまくはいかず
  あの町この町 渡ったよ
  こんばんは 久しぶりね
  あたしにも 飲ませてよ

こんばんわ 昔ここに
猫とやさしい人がいた
恋しくて 寄ってみたよ
いまはどうしてるの
  あれから 何をやってもうまくはいかず
  あの町この町 渡ったよ
  こんばんは 久しぶりね
  あたしにも 飲ませてよ
  あれから 何をやってもうまくはいかず
  あの町この町 渡ったよ
  こんばんは 久しぶりね
  あたしにも 飲ませてよ

 

JASRACコード 032-0036-1

 

  イントロに2行のセリフが入ります。中島みゆきの全ての曲の中でイントロにセリフが入っているのはこの曲だけです。
 4枚目のLP『愛していると云ってくれ』には『元気ですか』という詞の朗読はあります。
  ずいぶん前に別れて、忘れようとしていた男とある夜偶然酒場で出会い、恋心が再燃します。
  しかし、男の方は見知らぬ人を見るような目つきです。
  男と別れてから、何をやってもうまくいかず、町を転々としていた女にとって、このチャンスを逃す手はありません。
  しかし、この恋は成就しなかった余韻が残ります。
  「あれから 何をやってもうまくはいかず」のフレーズからは所謂「あげまん」を連想させます。
元来「あげまん」は女性に対して使うのが通例ですが、この歌では別れた男がそうだったみたいです。
  ブルース調でギターの伴奏がメインです。中島みゆきはけだるい声で歌っています。間奏に尺八が使われています。
 
  『強い風はいつも』
 

強い風はいつも ボクらの上に
ひとつの渦巻きを 残してゆくのか
強い雨はいつも ボクらの上に
ひとつの水たまりを 残してゆくのか
 押し寄せる波は
 どこから生まれて 生まれて来るのか

強い日ざしはいつも ボクらの上に
ひとつの長い影を 残してゆくのか
強い愛はいつも ボクらの胸に
ひとつの悲しみを 残してゆくのか
 追いかける夢は
 どこまで果てしなく どこまで続くのか

 
JASRACコード 052-2143-9
 
  「強い風はいつも」「強い雨はいつも」「強い日ざしはいつも」と3つの気象条件を挙げ、「ボクらの上に・・・を残してゆくのか」と疑問を呈しています。
  これには深い暗喩はこめられてないと思います。 単に人間が様々な気象条件に振り回される、ということを言いたいのだと考えます。
  それに対し、「強い愛はいつも ボクらの胸に ひとつの悲しみを 残してゆくのか」
というフレーズは意味深長です。
  愛は喜びです。なのに「悲しみ」とは何故か。キーワードは「残してゆく」です。つまり、愛し合っているときは喜びですが、別れるときには「悲しみ」になる。
 後に中島みゆきの代表作となる『わかれうた』の一節

  「わかれはいつもついて来る 幸せの後ろをついて来る」

の原型がここにあります。

 歌謡曲風のイントロから序盤はフォーク調でギターのアルペジオが主な伴奏になっていますが、バラードとも取れます。 

1番は短調のスローテンポですが、2番になると転調して長調のアップテンポな曲調に転調します。