『わかれうた/ホームにて』 1977910日発売 

 

『わかれうた』

 

途に倒れて だれかの名を
呼び続けたことが ありますか
人ごとに言うほど たそがれは
優しい人好しじゃ ありません

別れの気分に 味を占めて
あなたは 私の戸を叩いた
私は別れを 忘れたくて
あなたの眼を見ずに 戸を開けた

わかれはいつもついて来る 幸せの後ろをついて来る
それが私のクセなのか いつも目覚めれば独り

あなたは愁いを身につけて
うかれ街あたりで 名をあげる
眠れない私は つれづれに
わかれうた 今夜も 口ずさむ

 

 

だれが名付けたか 私には
別れうた唄いの 影がある
好きで別れ唄う 筈もない
他に知らないから 口ずさむ

恋の終わりは いつもいつも
立ち去る者だけが 美しい
残されて 戸惑う者たちは
追いかけて焦がれて 泣き狂う

わかれはいつもついて来る 幸せの後ろをついて来る
それが私のクセなのか いつも目覚めれば独り

あなたは愁いを身につけて
うかれ街あたりで 名をあげる
眠れない私は つれづれに
わかれうた 今夜も 口ずさむ

 

JASRACコード  095-5018-6

 

オリコンで初めて1位を取り、一躍スターダムに躍り出た記念すべき歌です。

この歌の前に発売された『夜風の中から』がオリコン最高位151位という悲惨な売れ行きと考え合わせると雲泥の差があります。

ただ、『夜風の中から』の発売日が1976725日で『わかれうた』が1977910日と1年以上のブランクがあります。

それまでは3〜4ヶ月のスパンで発売されていたことを鑑みると、このブランクには何か秘密が隠されている気もします。

この歌のヒットにより中島みゆきは「別れ歌唄い」「ふられ節唄い」のレッテルが貼られます。

初期の中島みゆきの歌の大半は「ふられ節」なので的を得てはいるのですが、それだけのアーティストではありません。

後に述べていきますが、同じ「ふられ節」でも内容は進化してゆきますし、やがて「ふられ節」から脱却して「自立した女性」を歌うようになります。

ギターのイントロからずんちゃちゃ・ずんちゃちゃと独特のリズムを刻んでいます。

 

 

『ホームにて』

 

ふるさとへ 向かう最終に
乗れる人は 急ぎなさいと
やさしい やさしい声の 駅長が
街なかに 叫ぶ
振り向けば 空色の汽車は
いま ドアが閉まりかけて
灯りともる 窓の中では 帰りびとが笑う
走りだせば 間に合うだろう
かざり荷物を ふり捨てて
街に 街に挨拶を
振り向けば ドアは閉まる

振り向けば 空色の汽車は
いま ドアが閉まりかけて
灯りともる 窓の中では 帰りびとが笑う
ふるさとは 走り続けた ホームの果て
叩き続けた 窓ガラスの果て
そして 手のひらに残るのは
白い煙と乗車券
涙の数 ため息の数 溜ってゆく空色のキップ
ネオンライトでは 燃やせない
ふるさと行きの乗車券

たそがれには 彷徨う街に
心は 今夜も ホームに たたずんでいる
ネオンライトでは 燃やせない
ふるさと行きの乗車券
ネオンライトでは 燃やせない
ふるさと行きの乗車券

 

 

JASRACコード  077-4355-6

 

1977625日に発売されたサードアルバム『あ・り・が・と・う』からシングルカットされています。

ギターとベースだけの伴奏ですが、アルペジオの美しい名曲です。

歌詞の解釈はいらないでしょう。

夜汽車というのは独特の雰囲気を醸し出します。

窓の外は暗闇で明るいものといえばネオンです。同じ路線に乗っていても昼間と夜間では全く違う様相を示します。

 また、この歌では「ふるさと」がテーマになっていますが、中島みゆきの歌の中には「ふるさと」を歌った曲も多いです。

 中島みゆきは高校までに5回も引越しをしており、インタビューでは『ふるさとなんてどこにもないわ』と答えています。

「ふるさと」は離れて初めてその有り難味がわかります。

 

私事ですが、高校時代からギターを弾き始めました。

当時は「かぐや姫」「チューリップ」「よしだたくろう」「井上陽水」「グレープ」などのフォークが全盛の時代で、楽譜本を買っては練習していました。

「ホームにて」が発売されたとき私は2年目の浪人生活を送っていました。

受験勉強の合間にこの曲を練習して完璧にコピーしました。

私はソウウツ病患者で入退院を繰り返しています。

博多にいた頃入院していたとき、ギターを持ち込み一人で悦に入っていました。

その病院ではOT(作業療法)の一環としてレコードを聴いたり、歌を歌ったりする行事が毎週一回ありました。

そこで私はこの曲を披露したのですが、緊張から上手く弾けず恥ずかしい思いをしたのを懐かしく思い起こします。

 

尚、メルマガを書籍化するに当たりバックナンバーを全てファイルに収めました。

それを加筆修正しながら進めてゆくと、このシングルを飛ばしていることに気付きました。

中島みゆきが初めてオリコンで1位を取った記念すべきシングルを失念していたなんて我ながら迂闊さに呆れてしまいます。